小倉ブックレジデンス 本店【一棚店主がつくる新しい本好きコミュニティ】

北九州市小倉北区魚町にメルカート三番街と言う場所がある。古いビルをリノベーションしてクリエイターや商店主のための拠点づくりを推進しているプロジェクトで、ビル内には雑貨屋や食堂などが所狭しと軒を連ねている。

メルカート三番街。ビル全体から活気が感じられる。

そんなビルの一角に「小倉ブックレジデンス」という少し変わった本屋がある。

小さな本屋が一堂に集まる本屋

店内に入ると、一般的な本屋とは違う雰囲気にすぐに気づく。一棚一棚に小さな看板があり、それぞれの本棚ごとに特色が違う。

全体を俯瞰してみると雑多な印象なのだが、そこが面白い

小倉ブックレジデンスは最近、世間的に認知され始めている新しい本屋の形「シェア型の本屋」の一つである。シェア型の本屋とは、「本のレンタルボックス」といえば分かりやすいだろうか。一棚一棚を街の本好きや将来本屋開業を目指す人などに賃貸しし、借りた人はその棚の店主となり(以下、一棚店主)、好きな本やおすすめの本を並べる。小倉ブックレジデンスでは並べられる物を本に限定しておらず、本に関連するグッズを置いている一棚店主も多く、棚を眺めているだけでも飽きない。現在(記事執筆時2020年7月)、本店と香春口店の2店舗を展開している。

誰かの家の本棚を覗いているような感覚になる

ジャンルごとに区分けされていないので、欲しい本を探しにいくと言うよりは自分の琴線に触れる本との出会いを楽しむ場所だ。

本サイトの運営団体である「みんふるや」は古賀市にみんなで古本屋をつくろうと言うことで始まったのだが、みんなで本屋を運営していくと言うことの、一つの解はこのシェア型の本屋なのではないかと思っている。2019年11月から2020年6月まで、みんふるやも小倉ブックレジデンス内に出店させてもらい勉強させていただいた。今後の私たちの本屋づくりに活かしていければと思う。

本好きのコミュニティとしての役割

一棚店主として名前を連ねる人たちのほとんどは「本好き」の人たちである。本の補充や本棚の整理に訪れて、各自の作業を終えれば、すぐに店主から本好きの顔に変わり、面白い本や読みたかった本が置いていないか物色し始める。

自分の好きな本を並べて紹介し、その上でさらに自分の好きな本を見つける。

本好きにとってはこれほど刺激的な場所も少ないのではないだろうか。

店主同士はもちろん、店主以外のお客さんを含めた交流も活発で、読書会やビブリオバトルが行われたり、時にはトランプ大会など多様なイベントが開催されている。本屋を媒体にして一つの本好きコミュニティができているのだ。最近(記事執筆時2020年7月)はZOOMを使ったオンライン読書会がメインになっているようだが、読書会初心者でも参加しやすい雰囲気なので、本好きコミュニティを探している方はぜひ一度参加してみてはどうだろうか。

一棚店主「メタオ屋書店」のシュンさん

店内で小倉ブックレジデンスの管理人さんと話をしていると、一棚店主のシュンさんがやってきた。

メタオ屋書店のシュンさん

シュンさんの「メタオ屋書店」は今年に入って本店で本屋活動をスタート。その後、香春口店のオープンに伴い、そちらにも出店。本への愛にあふれたポップが好評でたくさんの本を世間に向けて紹介、そして販売へと結び付けている。界隈のSNSなどを見ていてもシュンさんの話題が上がることが多く、小倉ブックレジデンスを代表する店主に急成長を遂げた。

取材時(2020年6月)に聞いたところ、メタオ屋書店は本店では芥川賞受賞作品などの純文学を中心に、香春口店では大衆文学を中心に並べているとのことだった。

丁寧に書かれたポップに本への想いが透けて見える

本屋を開業したいというわけではないんです。本屋をするには経営ができなければいけませんが、私にはできないので。ここ(小倉ブックレジデンス)のおかげで、本屋活動ができているので本当にありがたいです。

と語るシュンさん。シェア型の本屋によって、確実に本文化の裾野が広がっていることを実感する言葉だった。


シュンさんの他にも個性的な本屋が所狭しと入居する小倉ブックレジデンス。一棚店主の本への想いがこもった本棚を見に、是非足を運んでみてほしい。


小倉ブックレジデンス 本店
福岡県北九州市小倉北区魚町3丁目3−12 メルカート三番街1F-4
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