古本と雑貨 ブックスアレナ【ご縁をつなげる太宰府の本屋】

「トランク一つの本屋さん」

カジュアルでオシャレ。それでいて気取らない。そんな本屋のかたちがあるのかと、ブックスアレナのことを最初に知った時はそんな風に思った。

時は2019年。ブックスアレナのご店主は別の本屋の一角を借りたりしながら、トランク一つで本屋活動をしていた。私も本の活動を始めたばかりのころで、SNSを通してご店主と交流をもてたときは、とても大きな刺激を受けたことを、今でもはっきりと覚えている。

いつか何か一緒にできたらいいですね。

なんて話までさせてもらっていたのだが、翌年の2020年に、アレナは一気に実店舗のオープンへこぎつける。

それが太宰府の五条にある
「古本と雑貨 ブックスアレナ」である。

大変な苦労もあったことと思うが、軽やかに本の道を切り開いていく姿には素直に、「ちょっと待ってくださいよー」と言いたい気持ちだった。

仕事が忙しいので、落ち着いたら遊びにいこう。

そんな風にのんびり構えていた私に大変なニュースが舞い込んできた。寒さも徐々にやわらいで、春はもうすぐだよ、という2021年2月下旬のことだ。

なんとアレナが一時閉店するというじゃないか。

聞けば、ご店主が体調を崩されたとのことで、再開はいつになるか分からない。

「結局、アレナには足を運べないままになってしまったな・・・」

と残念な思いだったが、どうすることもできない。

「最初はトランク一つで活動していたんだから、きっと何らかの形でまた帰ってきてくれるはずだ。」

そう信じるしかなかった。

それから数ヶ月、今度はアレナ再開の報が飛び込んできた。

数ヶ月というのは捉え方によっては長くも短くも感じる。私個人の感想で言えば、「一時閉店が長くならず本当によかった」というところなのだが、体調と相談しながら「如何にして再開するのか」という課題に向き合い続けたご店主の尽力を思うと、途方もない長さのような気もする。

今回の件は、悠長に構えていた私に「会いたい人にはさっさと会いにいきなさい」とチャンスの神様が教えてくれたのかもしれない。

ということで「今度こそ絶対に会いにいくんだ!」と決意を新たにした私は、前のめり気味に「伺います!!」と、ご店主にアポをとりつけたのである。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、先日、再オープンした「古本と雑貨 ブックスアレナ」にやっとこさ足を運べたので、その時の話をします。

どうぞ最後までお付き合いください。

人と本がつくりだす居心地のよさ

アレナに一歩足を踏み入れると、再開を喜ぶ人たちの熱気で店内は静かに盛り上がっていた。

静かに盛り上がる、というのはなんとも矛盾しているようだが、そのように言うほか言葉が見つからない。

本の装ひ堂ご店主に、八女の「うなぎの寝床」に新規オープンする本屋「うなぎBOOKS」のマネージャーさんなど本屋界隈の方々、そしてアレナの運営を手伝う方々。たくさんの方が、アレナの再開を喜んでいた。

楽しい雑談のなかにも、お互いへの配慮が自然とあふれていて、その空気の中心はもちろんご店主で、「素晴らしいお人柄がそのまま形になってお店ができたのでは??」と思うほどである。

再オープンのお祝儀みたいなものです

と、ご店主は控えめだが、この静かだけれども熱い空気は、きっとアレナを守り続けるような気がする。うん。

※ちなみに営業は当面、水と土の週2回とのことです。営業日や営業時間などの最新情報をSNS等で確認してから行くことををおすすめします。

翻訳者でもあるご店主が選ぶ、洋書、翻訳本、語学の本が中心の品揃え

アレナの本は大半が古本なのだが、

本はまず状態でふるいにかけています。

とご店主が語る通り、どれも状態がよく綺麗に規則正しく陳列されているのが印象深い。

絵本は「トマケチャブックス」という絵本ブログを書かれている図書館司書のトマもぐさんの選書で、新刊本がこちらの棚にならぶ。

トマケチャブックスの絵本棚

当日は、トマもぐさんとはすれ違いでお会いできなかったけど、いつかお話を伺えたらいいな。

アレナでは現在(取材時2021年6月)、新刊の取り扱いは絵本が中心だが、今後は絵本以外にも新刊の量をを徐々に増やしていくそうだ。

そして、忘れてはいけないのが雑貨の取り扱いについてである。アレナは古本と「雑貨」のお店なのでもちろん雑貨もずらり。地元の作家さんが作られている雑貨が中心のようだ。

私も愛用する「本の装ひ堂」のブックカバーも販売されている。「本を持ち歩きたいけど、キズつけたくない」というあなたに本当におすすめ。

本の装ひ堂のブックカバー

※「本の装ひ堂」については以前、こちらの記事に詳しく書いたので、ぜひご覧ください。

ご縁文庫 -GOEN BUNKO-

「ご縁文庫」と名付けられたこちらの棚の本たち。

ご縁文庫-GOEN BUNKO-の本棚

この棚の本はいずれも105円、205円…というように1の位に端数となる5円が設定されているのが特徴だ。お客さんとのお金のやりとりで5円玉が発生するように値付けされているのである。

買い手と売り手との間でのご縁(5円)のやりとりを大切にしたい。

そんなご店主の思いが伝わってくる企画なのだが、さらにご店主が受け取った端数の5円は発展途上国の子どもたちに絵本を贈る活動をするNGOに寄付される。

売り手と買い手、そして子どもたちへ。本を通してご縁を繋いでいく。とてもあたたかく面白い仕組みだと思う。私も本で人が繋がれる仕組みを思案中なので、ご縁文庫はとても勉強になった。

また、ご縁文庫では本の寄贈も受け付けている。そして、お客さんが寄贈した本には仮に値付けがなされ、相当額のご縁文庫の本と交換が可能になっている。つまり本の物々交換ができるということだ。

この交換でも冊数×5円が該当のNGOに寄付されるとのこと。

物々交換という仕組みによって寄付、寄贈を気軽にしてもらえるように。と、ここにもご店主のきめの細かい気遣いを感じる。

ちなみに105円、205円と値付けされた本たちを買うと5円のやりとりが発生するということで、すごい!面白い!画期的!と思っていたのだが、

実は偶数冊数お買い上げになると、5円のやりとりが発生しないことに、後で気づいたんです…

と、ネタバラシしてくれたご店主。わたしも全然気づかなかったが、そんな人間味が感じられるところもアレナの魅力かもしれない。

(偶数冊購入された場合でも、きちんと冊数分の5円が寄付にまわりますのでご安心を。)

当日、アレナで買った本

当日、私が買ったのはこちらの二冊。

絵本と詩集なのだが、なんとアレナの運営をお手伝いしている方のなかに、この二冊の著者である真崎さん(絵本の方は文章のみのご担当)がいらっしゃったので、その場で手にとり購入させていただいた次第なのである。

あらためて家でゆっくり読ませていただいて、心の旅をしたようなそんな気持ちになった。慌ただしくてそして儚い人生だけれども一瞬一瞬を大切にしたいなと。

心を豊かにしてくれる本、そしてそれを優しい目で見つめる人たち。アレナでの出会いや出来事は、私にとって確実に今年のハイライトになる気がする。たくさんの宝物をくれた、アレナに本当に感謝だ。


古本と雑貨 ブックスアレナ
福岡県太宰府市五条1-16-7
営業日・営業時間:当面は水と土の13:00〜17:00
Instagram: https://www.instagram.com/books_arena2020
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